安定して動いているものに手を加えたくなる…そんな誘惑を抑えて、「現状を守る勇気」を与えてくれるのがランスの法則(Lance’s Law)です。
ランスの法則とは?
「物事がうまく進んでいるなら、余計な手を加えるべきではない」—ラ ンスが口にした一句、「If it ain’t broke, don’t fix it.」が起源です。
この言葉は、1970年代、政府が必要な分野には資金を回さず、不必要なところばかりに投資している姿勢への皮肉から生まれました。
会社内でもあるあるですよね。
なぜ「直したくなる」のか?
- 人は“より良くしたい”という欲望に駆られがち
- しかし、改善のつもりの変更が、逆にトラブルを呼ぶこともある
改良がもたらした失敗例
- コカ・コーラ「New Coke」:味の変更により消費者から不評。撤回。
- Windows 8:UI変更で混乱。Windows 10で元に戻す。
- Gap新ロゴ:デザイン変更後すぐ元に戻すことに。
ランスの法則を活かす方法
- 目的の明確化:「なんとなく変えたい」ではなく、成果が見込める場合に実行
- 安定性の評価:「変更がない=悪」ではない。安定こそ価値。
- 安全な変更態勢:テストやロールバックを前提に。
関連概念:YAGNI
YAGNI(You Aren’t Gonna Need It)は「将来使わないものは作るな」という設計哲学で、ランスの法則と共に「必要以上の変更を避ける」視点を与えてくれます。
まとめ
- 「触らない勇気」=安定の価値を信じる判断力
- 安易な改善よりも、安定する仕組み・組織を守ることがプロの判断